平成30年6月23日(土)に第12回FIT呼吸器外科研究会を行いました。学会や行事の重なるお忙しい中,35名の先生方にご参加いただきありがとうございました。

<薬剤のレクチャー講演>
済生会金沢病院外科の高田宗尚先生が「切除不能非小細胞肺癌におけるタグリッソの有用性」について,自験例を含めて講義してくれました。

<若手医師の手術>
今回も若手の先生のため,若手の先生の手術ビデオを供覧し,手術のどこが難しかったか指導者などと話し合うコーナーを設けました。
富山県立中央病院呼吸器外科の高山哲也先生,金沢大学先進総合外科の加藤一希先生に発表してもらいました。
高山先生には完全胸腔鏡の手術手技を,加藤先生には初めての肺血管処理をビデオ提示してもらいましたが,自己分析をしっかり行い,上手にプレゼンテーションを行えていたと思います。指導の先生もどのように若い先生を育てるかを考える必要があると感じました。
手術経験の少ない若手の先生に手術をしてもらうのは,時として大変なこともあり,責任も重大ですが,若い先生たちの手術をする機会が増え,発表していただけることを期待しています。

<テーマ:「分葉不全の処理~空気漏れ対策も含む~」>
今回のテーマ演題は「分葉不全の処理~空気漏れ対策も含む~」でした。
富山赤十字病院呼吸器外科の宮津克幸先生が「左肺分葉不全に対する左上葉切除術の2例」を,福井大学附属病院呼吸器外科の左近佳代先生が「当科における分葉不全症例の対応と傍心膜脂肪を用いた気漏閉鎖法」を発表してくれました。
分葉不全の処理には,fissureless technique,いわゆる匍匐前進法,葉間を割っていく方法などがあると思いますが,会場ではfissureless techniqueが多かったようです。傍心膜脂肪を用いた気漏閉鎖法の有用性についても討論されました。
いずれの発表も自分が手術を行うときに非常に役に立つ内容だったと思いますが,参考になりましたでしょうか。


<特別講演>
特別講演には神奈川県立循環器呼吸器病センター呼吸器外科部長の田尻道彦先生に「胸腔鏡下手術におけるpitfallとtroubleshooting」のご講演をいただきました。
Needlescopic VATSのほかに,胸腔鏡下手術におけるpitfallとtroubleshootingを様々な症例で提示していただきました。
多くの経験から合併症対策についてご教示いただき大変勉強になりました。ありがとうございました。

今回も参加した先生方には積極的に討論していただきありがとうございました。
時間的制限で若干突っ込んだ討論ができなかった印象があり,改善していきたいと思います。
また,中堅の先生方からの質問はよく聞かれるようになりましたが,まだ若手の先生の質問が少ないようです。
学会では聞けないことでも恥ずかしがらずに聞いてください。討論したこと,学んだことを日常の診療に役立てていただければ幸いです。
研究会でこんなことをして欲しいということがありましたら,なんでも提案してください。

髙田先生
  • 高山先生
  • 加藤先生
  • 宮津先生
  • 左近先生
  • 田尻先生

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